福利厚生の社員旅行とは?離職防止策や経費処理などについて解説!

福利厚生の社員旅行について解説しています。

福利厚生の社員旅行は、「従業員の慰労」や「社員同士の親睦」を目的に、多くの企業で実施されています。

HISの調査によると、社員旅行の行きたいエリアTOP3は「沖縄」「北海道」「関西」です。また季節ごとには、春は吉野の桜、夏は沖縄の海や涼しい北海道が人気です。また秋は京都や鎌倉の紅葉、冬になるとスキーができる北海道が人気です。

しかし近年は、社員の離職防止策として福利厚生の社員旅行を活用する企業が増えています。その背景には、入社3年以内の離職率が3割に達していることが挙げられます。また技術職の社員の離職の場合、社の重要な製造ノウハウ流出というリスクもあります。

本記事では、福利厚生の社員旅行の目的や離職防止旅行企画、経費で落とすポイント等について解説します。

1. 社員旅行とは

1-1. 社員旅行の目的とは

社員旅行の目的には、「リフレッシュ」「親睦・チームワーク」「育成」「離職防止」などがあります。例えばリフレッシュの場合、日常から離れて癒しや楽しみが感じられる企画の準備も大切です。

また社員旅行は、親睦・チームワークに効果があります。特に近年はコロナ禍で対人コミュニケーションの機会が減っており、社内コミュニケーションの活性に課題を感じている企業が多くあります。

そして意外と知られていない目的が、「社員の離職防止」です。厚生労働省の資料によれば、就職後3年以内の離職率は高卒大卒とも30%を超えています。社員が退職しないようする社員旅行は、経営的には大きなメリットがあります。

1-2. 慰安旅行や研修旅行との違い

社員旅行と似ているのが、慰安旅行や研修旅行です。結論から申し上げると、経費の税務上は同じと考えていいでしょう。一般的には、社員旅行は「コミュニケーションの活性化」のためとされています。

一方、慰安旅行は「癒しやモチベーションアップ」が目的とされています。また研修旅行は、その名の通り「従業員のスキルアップ」が目的とされています。

2.社員の離職防止の重要さについて

2-1. 社員の離職で起こる会社の損害とは?

2-1-1. 採用コストと教育コストが無駄になる

少子高齢化の影響で労働人口の減少が叫ばれる中、社員の離職は企業にとって大きなダメージです。退職者が出ると、それまで本人にかけたコストが全て無駄になります。

具体的には、本人にかかった採用コストや教育コストがあります。また、退職手続きに関わる事務コストやこれからの採用コストもかかります。実は1人の退職者が出るだけで、目に見えない多大な損失が企業に発生するのです。

2-2. 無視できない知識の損失

業務に関わる知識や経験は、ある意味でその企業の無形財産です。例えば優秀な営業マンが退職すると、「売上数字」や「営業ノウハウ」を失うことになります。しかも本人が同業界に転職した場合、顧客が流れるリスクもあります。

また技術者が離職した場合、社の「製造ノウハウ」が流出する可能性があります。過去には半導体業界において、優秀な技術者が他の国にスカウトされ、貴重な技術が流出したことがあります。その結果、業界の地位が逆転するという現象が起こりました。

このように社員が持っている知識や経験が社外に流出することは、企業にとって大きな損失です。

2-3. 社員のモチベーションが低下する

退職者が出ると、どうしても社内のモチベーションが低下します。例えば現場に何らかの不満がある場合、一人の退職をきっかけに他の社員も連鎖反応的に辞めるリスクがあります。

また社内のモチベーションだけでなく、業務を引き継ぐ社員の負荷も問題です。欠員分を新しく採用するにしても、同じ仕事量をこなせるリソースをすぐに補充できる保証はありません。欠員分の仕事の負荷が原因でモチベーションが下がり、更なる退職者が出てしまう可能性もあります。

3.離職の原因とは

3-1. 厚生労働省の離職原因データ

厚生労働省が発表した資料によると、代表的な離職理由は、以下です。

① 給料などの収入が少ない
② 勤務時間や休日など、労働条件が悪い
③ 事業や会社の将来に不安を感じる
④ 職場の人間関係が良くない

社員の離職を防止するには、このような離職原因を解消するのが効果的です。福利厚生で行く社員旅行では、会社の方向性と人間関係について改善できる可能性があります。

3-2. リクナビNEXTの離職原因データ

3-2-1. 興味深い転職理由TOP10

離職理由はナーバスなため、本当の原因が表に出にくい側面があります。特に本人が同業界に転職する場合は、その傾向が強くなります。

そういった点で非常に興味深いのが、このリクナビNEXTの『転職理由と退職理由の本音ランキングBest10』です。その内容を、以下にご紹介します。

1位 上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位 労働時間・環境が不満だった(14%)
3位 同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位 給与が低かった(12%)
5位 仕事内容が面白くなかった(9%)
6位 社長がワンマンだった(7%)
7位 社風が合わなかった(6%)
8位 会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
9位 キャリアアップしたかった(6%)
10位 昇進・評価が不満だった(4%)

3-2-2. 退職理由の本音とは

このデータで非常に興味深いのは、転職理由の裏側にある本音を聞き出している点です。例えば、1位の「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」の具体的な内容は、以下です。

・部下が成績を上げても自分の手柄にする
・自分の失敗は、全て部下に押し付ける
・トラブルが発生すると、まくしたてる
・社内のルールを無視する

また3位の「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった」の具体的内容は、以下です。

・仕事中はおしゃべりばかりで、仕事が全くはかどらない
・公私混同が激しい
・研修期間がなく、みんな忙しそうで業務に関する質問ができなかった
・このまま在籍しても、まわりと協調しながら成長できるイメージが持てない

このような離職社員の本音を把握することで、社員露光で解決すべき課題の実像が浮かび上がってきます。

4.離職防止効果のある社員旅行とは

福利厚生の社員旅行を活用し、離職防止効果を実現できると大きなメリットになります。その具体的なポイントを、以下に解説します。

4-1.社員旅行を実施する目的について

産労総合研究所が、会員企業(約)2000社を対象に調査を行っています。「2014年社内イベント・社員旅行等に関する調査」の「社員旅行を含む社内イベントの目的」として挙げた項目と割合は、以下の通りです。

① 部門を超えた横のコミュニケーション活性化 81.8%
② コミュニケーションの促進 60.3%
③ 上下関係におけるコミュニケーション活性化 46.3%
④ 若手の人材育成の場となっている 21.5%

上記の結果から、社員旅行の目的は「社内コミュニケーションの活性化」であることがわかります。

4-2.社内コミュニケーションを活性化する企画例

では観光的な社員旅行から、社内のコミュニケーション活性化効果のある社員旅行に変えるにはどうしたらいいのしょうか。実際の社員旅行の企画例を、いくつかご紹介します。

① チャンバラ合戦/作戦、チームワーク、コミュニケーションが問われる
② エクストリーム(極限)/平日夜出発、目的地(三崎港)で一泊し、翌朝9時出社の強行軍企画だが、参加者の満足度が高い
③ 謎解き脱出ゲーム/参加者が物語の主人公になり、チームワークで脱出成功を狙う
④ 筏作り競争/チーム単位で限定された素材で時間内で筏を作り、ブイを一周して帰ってくるタイムを競う
⑤ ヒラメキクエスト/旅行先で「体力試練」「クイズ」「写真撮影」など、様々なミッションをチームワークでクリアする
⑥ ロボットコンテスト/1チーム8人で、モーター、竹ひご、輪ゴム等に簡単な素材でロボットを作成する

5.社員旅行を経費で落とすポイントについて

福利厚生で社員旅行を実施する場合、おさえるべきポイントがいくつかあります。そこについて、解説します。

5-1.経費で落とすための条件とは

社員旅行を経費で処理するためには、以下の条件を満たす必要があります。

① 会社の負担金額が少額
② 旅行期間は4泊5日以内
③ 全従業員の半数以上が参加
④ 旅行不参加者に旅費相当金額を支給しない 
⑤ 従業員以外の参加費用は負担しない

国税庁のホームページには、経費として認められる社員旅行の具体例が掲載されています。

金額の相場観がわかるので、是非参考にして下さい。

5-2.家族が参加する場合について

社員旅行に、従業員の家族が参加する場合はどうなるのでしょうか。具体的には、以下の2つの条件を満たす必要があります。

① 家族の参加費用は全額従業員が負担
② 家族も社員旅行の全行程に参加

ここで重要なのは、会社は社外の人の参加費用を負担できない点です。つまり家族の参加費用は、参加させる従業員が負担する必要があります。

5-3.家族経営の会社が家族を参加させる場合

家族経営の企業の場合、経費として落とすには、社員旅行の目的を満たす必要があります。そのためには、社員旅行の目的や結果を客観的に証明できるような必要があります。

例えば市場調査として、現地で写真撮影をしたり、ヒアリングしてレポートにまとめるといった方法があります。

5-4.社員旅行の会計処理について

5-4-1. 勘定科目は福利厚生費

福利厚生費は、社員の労働環境を整備するための費用を計上する勘定科目です。例えば「社員旅行」以外に、「新年会・忘年会」「社宅」「社会保険料」「結婚・出産祝い金」などがあります。

5-4-2. 社員旅行の仕訳方法

例えば、社員旅行の会社負担額150万円を現金で支払った場合、どうなるのでしょうか。この場合、借方の勘定科目は福利厚生費で、金額は1,500,000円です。そして貸方の勘定科目は現金で、金額は1,500,000円になります。

6.最後に

福利厚生費で実施する社員旅行について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

国から経費として認められることも大切ですが、何よりも社員旅行の価値を最大化することが最も重要です。それは社員旅行を実施する前と比べて、組織内のコミュニケーションが活性化し、会社のビジョンや事業に希望が持てる状態になることです。

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